プレス事故が起きたらどうなるの? 従業員への補償や賠償って何があるのかな
プレス事故が起きたときに備えて、会社としてしておくべきことを知りたい
プレス機を扱う事業を経営するなかで、危険な事故への備えに不安を抱える方も多いでしょう。
この記事では、プレス事故が起きたときにどうなるのか、事例や従業員に対する補償・賠償についてお伝えします。
今から備えられる保険まで紹介しますので、プレス事故が起きたときにどうなるのかお悩みの方は、ぜひご覧ください。
主に製造業や加工業などにおいて、プレス事故は年間500件程度発生しています。
プレス事故では指や腕などをはさまれたり巻き込まれたりして、切断や死亡という結果に至ることが多々あります。
まず、プレス事故が起きるとどうなるのか、2つの事例を見ていきましょう。
動力プレス機械を使用して金属の加工業務を実施するなか、前後2つにある安全装置のうち1つが故障していた。
従業員は故障を把握していたが、修理をしておらず片方のみ作動させて作業を実施していた。
しかしなんらかの理由で従業員が金型の間に体を入れたとき、存在を検知されずに金型の間にはさまれて死亡した。
参考:厚生労働省「労働災害事例 プレスの金型にはさまれ死亡」
200tのプレス機械を使いステンレス板の端部曲げ加工作業を実施していたが、日頃から加工品が上型から外れにくく、作業効率の悪さに従業員が煩わしさを感じるようになった。
そこで上型を金型交換に使用する安全ブロックに激突させて、加工品を効率的に落とす方法を、従業員の独断で継続的に実行していた。
事故発生時も同じ作業をおこなっていたが、安全ブロックを上型が弾き飛ばし、従業員に激突して死亡した。
参考:厚生労働省「労働災害事例 プレス機械で作業中、加工品を上型から外すために置いた安全ブロックが飛来し死亡」
これらはあくまで一例に過ぎませんが、プレス事故は「これくらい大丈夫」という気の緩みや、とっさの行動が原因となることも多く、重大な事故につながりかねません。
以下は、プレス事故による死傷災害発生状況の動向です。
参考:日本プレス安全装置工業会「プレス安全通信」
プレス事故による災害死傷者数は、グラフからは一見減少傾向のように見えます。
しかしプレス機械の稼働台数も同時に減少していることから、災害発生度合いが減少しているとはいいがたい状況です。
企業ができることとして安全対策はもちろんですが、リスクがあることを前提とした対策が必要です。
プレス事故が起きたとき、従業員への補償や賠償はどうなるのか、どうすべきかは企業として考えておかなければなりません。
補償や賠償は、主に以下2箇所からとなります。
- 労災保険
- 会社もしくは加害者
順番に見ていきましょう。
通勤中を含め、労災保険は業務に起因するけがや病気が生じた場合に従業員へ支給されます。
従業員から労災申請があった場合は、企業側が労災であると認識しているか否かにかかわらず、申請手続きに関して一定の協力が義務づけられています。
労災保険の補償内容を、以下にまとめました。
補償の種類 | 補償の概要 |
療養補償給付 | けがが治癒するまで支給 |
休業補償給付 | けがで働けない場合に支給 |
障害補償給付 | 後遺障害が残った場合、程度に応じて支給 |
介護補償給付 | 介護が必要になった場合に支給 |
遺族補償給付 | プレス事故等により死亡した場合に支給 |
葬祭料・葬祭給付 | プレス事故等により死亡した場合に葬儀をおこなう遺族へ支給 |
傷病補償年金 | 症状が重く療養を開始してから1年6カ月を経過しても継続が必要な場合に支給 |
労災保険の対象者はパートやアルバイトなど雇用形態を問わず、すべての従業員です。
従業員を1人でも雇用していれば、労災保険への加入が義務づけられます。
万が一未加入であれば、必ず加入するようにしましょう。
プレス事故が発生したとき企業側がどうなるかといえば、安全配慮義務違反もしくは使用者責任が成立することで、損害賠償請求を受ける可能性があります。
安全配慮義務違反とは、従業員が安全かつ健康に働けるように配慮できなかったことによる違反です。
また使用者責任は、ほかの従業員の不注意による事故によって賠償責任を負います。
たとえば従業員Aが従業員Bに、けがをさせてしまった場合が考えられるでしょう。
損害賠償の内容は労災保険と共通する内容もありますが、労災保険では支払われない精神的苦痛に対する慰謝料が大きな違いとなり、数千万円にのぼることもあります。
1人で作業することも多い危険なプレス機は、安全カバーの取り付けや安全装置の設置など、企業側の対策が必須です。
事故につながれば、多額の損害賠償金の支払いを求められることとなるので、安全対策を怠らないようにするとともに、万が一への備えを考えておくと安心です。
記事の後半「プレス事故が起きるとどうなるか? を常に考え企業の対策が必須」では、備えに最適な保険をお伝えしますので、参考にしてください。
働けなくなったときに受けられる公的補償には以下がありますが、これらだけではプレス事故が発生したときに従業員の生活を守ることは困難です。
- 労災保険
- 障害年金
- 傷病手当金
労災保険も含め、傷病手当金は生活するにあたって最低限の制度です。
障害年金は障害が残り、日常生活や仕事ができない場合に支給されますが、多額の金額がもらえるわけではありません。
また傷病手当金は、給料の約2/3が1年6ヶ月まで受け取れる公的制度ですが、業務上のけがについては支給対象外です。
プレス事故で働けなくなっても、傷病手当金の給付はありません。
このようにプレス事故が発生した場合、公的補償さえ受けられれば従業員が安心して生活できるとはいい切れないのです。
ここまでの事例や補償内容でおわかりいただけるように、企業はプレス事故が起きた場合にどうなるかを常に想定しておかなければなりません。
公的補償で従業員が安心して暮らせるとは限らず、賠償金の支払いが必要になる可能性もあります。
そこで保険プランニング大分では、以下2つの保険の活用をおすすめします。
- 業務災害補償保険
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)
詳細を見ていきましょう。
業務災害補償保険は、労災上乗せ保険とも呼ばれます。
プレス事故を含む従業員の業務に関連するけがや病気に対して、労災保険では足りない部分をカバーできる民間の損害保険です。
以下2つが業務災害補償保険における、補償内容のポイントです。
- 従業員が労災に上乗せして治療費を受け取れる
- 会社を労災に関する賠償責任から守る
労災保険では最低限の補償しか受けられませんが、業務災害補償保険なら従業員がより手厚い補償を受けられるようになります。
また企業が従業員から損害賠償請求を受けた場合に必要な裁判費用や、和解金などの費用を幅広くカバーしてくれます。
業務災害補償保険への加入は従業員だけでなく、企業も守ってくれるので、万が一に備えて加入しておくと安心です。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)は業務上であるかを問わず、病気やけがで長期的に働けなくなった従業員に対して、所得の一部を補償してくれる保険です。
プレス事故によって症状の回復が遅い場合や障害が残って働けない場合でも、最長で定年まで毎月保険金が支払われます。
公的補償だけでは足りない部分を補ってくれるので、従業員にとって安心して働ける環境となるでしょう。
GLTDへ加入すると企業側としても福利厚生を充実できるだけでなく、離職率の低下や従業員のモチベーションアップを期待できます。
従業員と企業、どちらにとってもGLTDはメリットのある保険といえます。
本記事ではプレス事故が発生した場合どうなるのかについて、事例や補償・賠償のほか、おすすめの保険についてお伝えしました。
どれだけ安全対策をしたとしても、企業側は常にプレス事故が起きたときにどうなるかを考えながら、リスク対策をしなければなりません。
従業員の生活を守るだけでなく、多額の損害賠償金に備えるためにも、安心できる保険への加入を検討しておくと安心でしょう。
大分県大分市の保険プランニング大分は事業を安心して続けていただけるよう、最適な保険を考え、企業様のニーズを満たすご提案をいたします。
お困りの際はぜひ、お気軽にご相談ください。